何をしているの?生物資源工学科研究紹介

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生物資源工学科紹介

【私の研究自慢】(第8回)

2019年7月09日  濱田 泰輔

みなさん,こんにちは。

一般科目の「化学」や生物資源工学科の専門科目の「化学」に関する科目を担当しています濱田泰輔です。生物資源工学科の中での化学関係の紹介をします。

生物資源工学科では生物化学工学、環境・微生物、食品化学工学の各分野において様々な生物資源に関する教育や研究がおこなわれています。そのなかで、果実や果皮、樹木や草などの植物の中に含まれる役に立つはたらきを持つ有効な物質に関する研究も多く行われています。それらの有効な物質を生物資源から効率よく分離して取り出すこともたいせつです。今回はその方法について紹介します。

物質を分離して取り出す方法はいくつかあります。粒子の大きさの違いで分離する「ろ過」、沸点の違いにより分離する「蒸留」、溶媒に溶かし出して分離する「抽出」などが良く知られていると思います。これらの中の抽出という分離法に「超臨界流体抽出法」があります。これは抽出に使う溶媒に「超臨界流体」を用いるものです。一般的に純粋な物質は固体、液体、気体の3つの状態が存在しますが、「超臨界流体」とは液体と気体の両方の性質を有する均一な状態のことです。たとえば、二酸化炭素の場合、73気圧、31℃以上で超臨界流体になります。

超臨界流体抽出分離装置

それでは超臨界二酸化炭素を用いた抽出法による抽出例と利点を説明します。これまでに柑橘類の果実の果皮からフラボノイド類の抽出の研究を行いました。利点としては、(1)超臨界二酸化炭素は物質を良く溶かす性質があり、通常の有機溶媒での抽出では取り出しにくい物質も取り出すことができます。(2)温度も比較的低温なので、取り出したい物質の熱による劣化も防ぐことができます。さらに、(3)溶媒は二酸化炭素のみなので溶かし出した後は気体となって分離が容易で残存する心配がありません。このように良いことがたくさんある抽出法ですが、目的物質を選んで取り出したい場合には圧力や温度などを変化させた実験を繰り返し、条件を明らかにしていかなくてはなりません。

以上のように、生物資源に含まれる有用物質の取り出し方について研究しています。

過去の「生物資源工学科研究紹介」はこちらから見ることができます!(PDFファイルが開きます)