校長挨拶
『沖縄で学ぶ 沖縄から世界へ 咲かせよう未来 最南の地から最先端へ』

沖縄高専は、全国に51校ある国立高等専門学校のひとつで、平成16年(2004年)に最も新しい国立高専として、自然豊かな名護市辺野古の地に開校しました。開校時から地域の特性を考慮し、それぞれ入学定員40名の機械システム工学科、情報通信システム工学科、メディア情報工学科、生物資源工学科の4つの専門学科に加えて、共通の教育を担当する基盤教育科で構成されています。平成21年(2009)には、5年間のこれら本科の上に修学期間2年の専攻科創造システム工学専攻が設置され、教育の高度化を推進してきました。専攻科課程修了後は大学の学士(工学)の学位を取得することができます。
卒業後の進路につきましては、20倍を超える求人を頂き、就職率はほぼ100%となっています。また本科卒業後に、4年制大学の3年次に編入する学生や、本校専攻科に入学する学生など約3分の1が進学しております。
日本で生み出されたこの中学校卒業後の15歳からの5年間あるいは7年間の一貫した専門教育を行う高等教育機関は、国際的にみてもユニークで、独創的な高専教育モデルを導入する国々が現れております。その優れた教育効果の実績から、海外では「KOSEN」という言葉で認識され、沖縄高専でも高専機構の指示のもと、教員を現地に派遣して教員への指導・研修や学生への教育を行っています。特に、タイに五年一貫教育のKOSENが2校設置され、図書館や吹き抜けの校舎等は沖縄高専をモデルにした設計が採用されています。
創設20年を超えて、輩出する卒業生・専攻科修了生の合計はまもなく3千人に届きます。彼ら卒業生は、沖縄県はもとより日本全国、世界各地に送り出されて社会から高い評価を得ており、わが国の経済発展を持続的に支える人材として活躍をしています。
多くの産業活動、研究活動が世界規模で展開される今、新たな技術の発展、研究の展開には地球規模で未来を考えなくては立ち行かないという考え方が必要となってきています。この社会的要請に対しては、技術や研究に関わる人材としてグローバルな感覚を持った技術者・研究者が求められているのです。
21世紀になってもまだ解決ができない数多くの課題に、このままでは人類が安定して地球で暮らし続けることができなくなる心配があります。世界中の人々が話し合い課題を整理し解決方法「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」を推進していくことが必須となりました。またSociety 5.0に代表される産業構造変化、デジタルトランスフォーメーションという新たな考え方や技術も利用して、社会の要請を受けて柔軟に変化していく必要があります。ここには「創造性のある実践的技術者の育成」を役割とした高専生が活躍できる場があります。そのための実験や実習を重視した教育プログラム、早期教育の利点を活かしたものづくり実践教育の実施、問題解決型グループ学習(PBL)の積極的な導入など、常に時代の先端を行く教育の実現を目指しています。更に本校独自の取り組みとして、航空技術者プログラム、ドローンや水中ロボットの開発、沖縄特産の生物資源を利用した健康食品や医薬品の開発などに加えて、観光・地域共生デザインコースを設けて新しい付加価値を創造できる人財育成を実施しています。
本校は「沖縄で学ぶ 沖縄から世界へ 咲かせよう未来 最南の地から最先端へ」をキャッチコピーとし、実践的で創造的な技術者の育成に向かって、地域とともに歩む信頼される学校を目指しています。今後も本校の発展に、より一層ご支援くださいますようお願い申し上げます。
沖縄工業高等専門学校長 鈴木 康司